診療内容
〇保険診療→気になる症状がある方、異常があって経過観察中の方には保険診療を行います。
※当院は産科診療、乳腺外来・乳がん検診は行いませんので、ご注意下さい。
生理痛・月経困難症・月経痛
下腹部痛・月経の量のトラブル
月経によって下腹部が酷く痛む方。病気でなく痛みが強い場合もありますが、子宮や卵巣に病気がないかどうかを確かめることが必要です。生理痛の原因となる病気には子宮筋腫・卵巣嚢腫・子宮内膜症・子宮腺筋症などがあります。主には、鎮痛薬、漢方薬、低用量ピルやディナゲストなどによる治療を行います。
貧血
貧血には原因によっていろいろな種類がありますが、日常、診断される貧血で最も多い(貧血の 90%以上)のが、体内の鉄が足りなくなることによっておこる「鉄欠乏性貧血」です。特に、生理のある女性は毎月の経血で鉄を失うため男性よりも貧血になりやすく、20代~40代の日本人女性のおよそ20%~30%が鉄欠乏性貧血を発症していると言われています。女性の場合は月経の量が多すぎること(過多月経)による貧血が最も多く、子宮筋腫や子宮腺筋症などの婦人科疾患が原因となって過多月経が起こっている場合がありますので、生理の出血が多いかもという方は、注意が必要かも知れないです。
生理不順・月経不順(生理不順)・無月経(生理がこない)
月経の悩みで多い生理不順・月経不順は、生理の周期や期間に乱れがあることをいいます。 基本的に25~38日周期であれば正常とされ、その範囲内であれば問題はないとされております。これより短い周期で起こるものを頻発月経、逆に月経周期が39日以上のものを稀発月経、3ヶ月以上こないものを無月経、生理期間が1~2日で終わる過少月経、逆に1週間以上続く過多月経と呼び、そういった状態の方は、相談されてもよいかと思います。
不正出血
生理時以外に性器から出血することを不正出血といい、婦人科受診の理由で最も多い症状の1つです。大量に鮮血が出るような場合もおりものに少量の血が混ざっているような場合も不正出血です。不正出血には、膣や子宮、卵巣などに何らかの病気があるために出血する「器質性出血」やホルモンバランスの乱れによっておこる「機能性出血」、また、中には心配のない不正出血もあります。不正出血は重要な病気のサインの可能性があるため、出血の量や回数、ほかの症状の有無にかかわらず、一度でも不正出血があれば、気軽にご相談頂くことがお勧めです。
子宮筋腫
子宮内膜症
子宮腺筋症
卵巣腫瘍
月経前症候群(PMS)・生理前の不調(頭痛・腹痛・むくみ・イライラ・気持ちの落ち込みなど)
月経前症候群(PMS)は、月経の前に現れるこころとからだの不調です。さまざまな症状が月経前に3~10日間くらい続きますが、月経が始まると自然に軽快・消失します。日本人女性の70~80%が月経前に何らかの不調を自覚しており、5%は重い月経前症候群で日常生活に困難を感じているとされております。はっきりした原因は分かっていませんが、女性ホルモンの変動が影響しているといわれております。症状としては、こころの症状としては、情緒が不安定、イライラする、気分が落ち込む(抑うつ)、不安、不眠・眠気(睡眠障害)、集中力の低下、からだの症状としては、のぼせ、偏食や過食、めまい、からだがだるい(倦怠感)、お腹・頭・腰が痛い、むくみ、お腹や乳房が張る、便秘などです。診断としては、症状が毎月決まって月経の前に現れ、月経が始まると和らぐことの確認が大切です。治療としては、PMSについてまずは理解し、自分の症状を把握することが大事です。その他、低用量ピルを使ったホルモン療法や漢方薬療法などがあります。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
通常の月経周期では、排卵に向けて複数の卵胞が育ち始めますが、十分に成長して排卵されるのは1個のみです。他の卵胞は途中で成長が⽌まり、次第に小さくなっていきます。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)では卵胞の成⻑が途中で止まり、たくさんの⼩さな卵胞・嚢胞が卵巣内にとどまってしまう病気です。女性の5~8%にみられるともいわれており、決して珍しくない病気です。症状としては、⽉経周期に異常(無月経、希発月経)があらわれ、不妊の原因になることもあり、また、毛深くなる、ニキビができる、肥満、血糖値上昇などの症状があらわれることもあります。治療せずに長期間放置すると子宮体がんやメタボリックシンドロームなどのリスクが高くなることもあります。治療としては、その時点で妊娠を希望されている、されていない状況かで治療が異なり、希望されていない時には、月経をきちんと起こすために、黄体ホルモンやピルなどのより治療を行います。月経不順などの症状がある場合は、一度ご相談頂くことをお勧め致します。
おりものの異常
量、色、状態がいつもと違う場合ご相談下さい。カンジダ、細菌、クラミジア、淋菌、トリコモナスなどによる膣炎・子宮頚管炎,STIの他、ホルモンの異常・子宮がんなど様々な原因があります。顕微鏡や培養検査などを行い、原因にあった治療を行います。カンジダ膣炎は、風邪や疲れ、抗生剤内服後、妊娠などになり易く、かゆみ・ひりひり感などの症状や白い酒粕状のおりものが増えることが多いです。
STI(性感染症)
STIに分類される感染症はとても多いですが、STIのほとんどは感染しても症状が出にくく、知らないうちに進行してしまう事が多いのです。クラミジアは、女性がかかる性感染症では最も頻度が高いもので、自覚症状が少ない事が特徴です。このため気がつかないうちに病気が進行し、子宮や卵管、肝臓の周囲まで炎症が広がることがあり、不妊の原因になることがあります。性器ヘルペスは、自覚症状としては性器に生じる水疱、痛み、おりものの異常、そけい部のリンパ節が腫れたりします。その他、トリコモナス、淋菌、梅毒、マイコプラズマ・ジェニタリウム、ウレアプラズマなどの感染症もSTIに含まれます。
外陰部のかゆみ・かぶれ
カンジダ、トリコモナス、毛ジラミなどの感染症の場合や湿疹、接触皮膚炎などがあります。
外陰部の痛み・できもの痛み
更年期障害(ホルモン補充療法・漢方薬療法)
日本人女性が閉経する平均年齢は、50歳前後といわれていますが、閉経前の5年間と閉経後の5年間をあわせた10年間を「更年期」といいます。更年期には様々な症状(更年期症状)が現れますが、特に症状が重く日常生活に支障をきたすような状態を「更年期障害」といいます。更年期障害の主な原因は、女性ホルモン(エストロゲン)の低下です。40歳を過ぎて月経周期が不順になり始めたら、更年期にさしかかっている可能性があります。更年期の症状としては、ほてり、のぼせ、ホットフラッシュ、発汗、めまい、動悸、胸が締め付けられる、頭痛、肩こり、腰や背中の痛み、関節の痛み、冷え、しびれ、疲れやすい、気分が落ち込む、意欲が低下する、イライラする、情緒が不安定、眠れないなど人により様々です。症状が軽い場合は、規則正しい生活、ストレスを溜めない、十分な休息をとる、ストレッチや適度な運動を行うなどで、改善が期待できます。症状が強い方に対しては、血液検査で女性ホルモン量などを検査し、状態によりホルモン補充療法(HRT)や漢方による治療などを行います。
頻尿・尿もれなどの泌尿器トラブル(膀胱炎、過活動膀胱)
骨盤臓器脱(子宮脱)
〇自費診療
※原則、自費診療と同日に保険診療は行うことはできません。
ピル外来・処方
(ピルに関しての詳細は下記の低用量ピルについてをご参照下さい。)
当院では保険外診療の低用量ピルとしては、ラベルフィーユ、ファボワールの処方が可能です。※月経困難症(生理痛が重い)の方は、保険で処方可能です。
ラベルフィーユ、ファボワール共に診察料込みの価格:2,000円/月
避妊のご相談(低用量ピル)・子宮内黄体ホルモン放出システム
ミレーナ(子宮内黄体ホルモン放出システム、避妊リング)を避妊目的の保険外診療で実施する場合の価格は初回40,000円(ミレーナ留置時)、その後のミレーナに関する定期検診2,500円/回です。ミレーナに関する事前説明が必要なため、原則一度受診頂いた後、後日ミレーナ留置となります。※月経困難症(生理痛が重い)、過多月経の方は、保険での診療が可能です。
緊急避妊薬・アフターピル
レボノルゲストレル錠(72時間以内に内服が必要です)
価格:7,500円/回
月経移動
月経を早めたい方は月経を避けたい日程の2か月ほど前にご来院ください。
月経を遅らせたい方は遅らせたい月経予定日の5日前までにご来院ください。
※処方する薬の副作用を考慮し、45歳以上の患者様への月経移動はお断りさせて頂いております。また40~44歳の患者様への月経移動に関してはドクターと相談の上での処方となります。ご了承ください。
価格:中等量ピル(プラノバール)を使用する場合、3,500円/回
性感染症(性病)検査
(無症状の方は自費診療となり、症状がある方は保険診療となります)
自治体による子宮がん検診
「子宮体がん」は50代の多い病気ですが、一般の子宮がん検診で見つかる「子宮頚部がん」は30代で最も多く発見されます。早期発見のために、子宮がん検診は20代から始めることをお勧めします。各自治体の受診券をご持参下さい。不正出血、腹痛などの何か症状がありがん検査を行う場合は、自由診療でなく保険診療での実施となります。
☆低用量ピルについて(OC/LEP)☆
低用量経口避妊薬のことで、ピルという呼び名が一般的ですが、英語のOral Contraceptivesの頭文字から「OC」と呼ばれています。
一方で「LEP」とも呼ばれ、月経困難症などに保険処方される低用量ピルもあります。
→まとめますと、OCもLEPも同様の低用量ピルで、基本的な作用は共通していますが、自費で処方するものをOCと呼び、保険で処方するものをLEPと呼びます。
基本的には、LEPは月経困難症などの治療目的で使用し、自費負担となるOCは避妊目的で使用することになっております。
- ピルには、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2つの女性ホルモンが含まれています。
- 毎日規則正しく服用する事で、ほぼ確実な避妊効果が期待出来ます。
- 赤ちゃんが欲しくなったら、ピルの服用を止めれば速やかに妊娠可能なもとの状態になります。
- 一相性と三相性の2種類のピルがあります。
- 周期投与と連続/フレックス投与があり、生理痛などの月経困難症では後者の連続/フレックス投与を選択することができます。
ピルの種類
プロゲステロンの種類により第1~4世代に分かれ、世代によって特徴や効果に違いがあります。
第1世代はジェネリックを選択すると薬価1シート(28日分)月450円前後と最も安価です。第2世代は、比較的不正出血が少ないです。第3,4世代のピルはにきび治療、多毛症の治療にもなり、第3,4世代のピルはPMSに対して特に効果的です。
ピルの服用方法
「21日間服用し7日間休む」、「24日間服用し4日間休む」28日周期と、長期服用して出血の回数を減らすことが可能なものもあります。
当院では処方しているOCは、ファボワール28、ラベルフィーユ28で院内処方を行っております(診察代込で1シート28日分で2,000円)。
LEPは、ヤーズ、ドロエチ、ヤーズフレックス、ルナベルLD/ULD、フリウェルLD/ULD、ジェミーナ21、ジェミーナ28、アリッサを保険処方しています。
保険処方されるLEPは、1シート28日で約450~2,350円/月です。
28日の周期投与の他に、最長120日間服用を継続できる「ヤーズフレックス」、77日間服用を継続する「ジェミーナ」 があります。連続投与できるものは、価格が約月2,300円とやや高価です。
ピルの効果
ピルには以下の効果があります。
- 避妊効果がある。
- 月経周期が規則的になる。
- 月経周期の移動ができる。
- 月経痛や月経前症候群(=PMS、いらいらなど)が軽くなる。
- 出血期間が短くなり、月経量も減る。貧血が改善する可能性がある。
- にきびや多毛症がよくなる(ピルの種類によります)。
- 子宮内膜症の痛みが軽くなる(月経痛、月経以外の下腹痛・腰痛)。
- 子宮内膜症の術後の服用で、再発が減る。
- 卵巣がんのリスクが減る。
- 子宮体がんのリスクが減る。
- PCOSに対する効果。
ピルの副反応
個人差が非常にありますが、下記の副反応が出ることがあります。
- 軽い吐き気
- 周期の途中に起こる軽度の出血、内服開始の頃に多く、数ヶ月で治ってくる。
- 頭痛
- 倦怠感
- 乳房の張り
- 血栓症
血栓症のリスクも高まるため、ピルの服用が原則できない方、注意を要する方
☆新しい定用量ピル(商品名:アリッサ)が2024年12月から処方可能となりました。
第4世代のピルで、最大の特徴は、血栓症のリスクがより低く、より安全に使える薬剤と考えられていることです。薬価は3割負担の方で1シート(28日分)で約1,500円です。
黄体ホルモンを主成分としており、緊急避妊薬として使われます。妊娠の可能性がある性交後、72時間以内に1錠のアフターピルを服用することで、約84%の避妊効果が期待できます。
性交から時間が経つにつれて避妊効果は下がってしまうので、なるべく早く飲むことが重要です。